探索26日目
Diary
出て行く人は出て行って、
この島も随分と寂しくなったものだね、うん。
今、僕の周りには人の気配はない。
その気になって探せば、結構な人が残っていそうだけどね。
僕がここに居るのは、消えていく人を見送るため。
僕には、ただ見送ることしか出来ないから。
眼前で息絶えていく光景が見えたとしても、
彼らには僕の姿は見えないし、
僕の声も、手も、彼らにはもう届かない。
もう少し頑張れていたなら、
彼らは別のエンディングが迎えられたんだろうか?
思い上がりと知りつつも、そう思わずにはいられないね、うん。
世の中は、必ずしも幸せなことばかりじゃなく、
努力が報われるとは限らず、
理不尽だったり、選択の余地が無かったり、
超えられない壁があったりして、
つまるところ、ままならない。
だから、僕はそんな世の中に「暗示」をかけて回る。
~みんなで幸せになろう。
~夢はきっと叶う。
~本当は、人はやさしい。
全て、嘘だ。
だけど、みんなが騙されてくれれば、それは真実になる。
だから、僕は全ての人を騙すだろう。
これまでも、これからも。
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