2008年10月12日日曜日

裸足のきみを僕が知ってる。



「奴は己の在り方を己で定め、
 それに添うよう努め、
 実際にその多くを成し遂げ、
 理想に殉ずる事が出来た。」

 そうだね。

「奴は幸か? 不幸か?
 これは喜劇か? 悲劇か?

 問う間でもない。

 …答えは、紛れもなく、前者だ…」

 そうだね。
 僕たちの『視点』では。
 …でも、


  「君は、満ち足りているだろうか?」


 壁白君が語った通りなら、
 これは、悲劇ではない。
 だから、救済も要らない。

 生き様に納得し、満足し、穏やかに逝けたのなら、
 それでいい。


 だからこそ、今一度、君自身に問う。


  「君は、満ち足りているだろうか?」 


 為すべき事を果たせなかったことも、
 運命を、変えられなかったことも、
 彼女を、救えなかったことも、

 全てを受け入れ、全てを赦して、
 穏やかに逝けたのなら、
 それが、一番いいことなんだけど。


 だから、僕も祈る。
 「あの子の顔が、最後の瞬間まで穏やかなものでありますように。」

 後の事はすべて僕らに任せて、
 Rest in peace
 もう、何にも苦しむことなく、眠ってもいいから。
 …でも、


  「君は、満ち足りているだろうか?」 


 優しいね、壁白君は。
 神様の気紛れによるこの『結末』を、一生懸命支えている。
 『これは幸せな物語』だと、一生懸命説いている。

 そして実際、多くの人が納得をした。
 これは『悲劇』なんかじゃないんだと。
 でも、
 『悲しいけど、悲劇じゃない』なんてことがあるんだろうか?

 なんと言うか、困るね。
 大事なピースが、欠けているような気分だよ。

 だから、壁白君にではなく、君に、直に聞きたいね。


  「君は、満ち足りているだろうか?」 



     答えは、「はい」だろうか。

     それとも、「いいえ」だろうか。



 言葉に出す必要はないよ。
 高らかに宣言する必要はないよ。
 ただ、思うだけでいいんだ。

 君の中の君が、思う通りに。



 もし、君が満ち足りていないなら、
 もし、君が望むなら、

 僕は、介添える。
 元の「物語」を、僅かにも揺らすことなく。


 僕は、あの子の兄だから。
 妹の我侭を最大限に叶えようとする、妹萌えの愚かな兄だから。

 僕は、介添える。
 元の「物語」を、僅かにも揺らすことなく。


 安息も、休息も、人としての幸福も、
 何もかもと引き換えに、戦い続けることを選ぶなら。

 たとえ大叔母や、師の轍を踏んで、
 不老不死に身を窶しても、為したいことがあるのなら。

 僕は、介添える。
 元の「物語」を、僅かにも揺らすことなく。


 ところで、全然関係ないんだけど、
 次回からペットを入れ替えるよ。


 金色の、ボールさんなんだけど。
 いい名前、募集中。
 このままでは「きんたま」になりかねないんだよね、うん。



 僕には力はない。
 僕は、何も行使しない。

 僕は、目を逸らすことなく、
 ただ、言葉を紡ぎ続けよう。

 魔法を、かけよう。

 僕は奇術師ではないから、
 無いものを生むことは出来ない。
 君が思ってもいないことを表すことは出来ない。

 でも、もし君が僅かでも疑ったなら、

 雨云 十三郎ならやりかねないと思ったなら、
 雨云 十三郎ならやらかしかねないと思ったなら、
 雨云 十三郎ならやってしまったんじゃないかと思ったなら、

 Dreams come true
 それは「実現」するだろう。


  ─── それがヒト科の粋、『救済の技法』

0 件のコメント: